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第90回派遣報告
団長:        上田 耕平
団員: 歯科医師 森 康仙 山岡 義孝
江戸 馨一 坂東 吟子
勝田 馨介 江端 隆寿
幾島 章仁 伊東 勇一郎
 懸  隆 箕輪 映里佳
中野 友徳 藤井 瑞季
歯科衛生士 東 清美 松山 幸代
道原 美保 小林 千夏
高林 由季 藤波 明日香
斎藤 絵美
看護師 谷定 祐加
現地サポート ロイ

 
活動年月日 2014年11月23日 2014年11月24日
活動場所(施設名等) カオパン省
午前の部 午後の部 午前の部 午後の部
時刻 開始 8時00分 14時00分
    終了 13時00分 17時00分
派遣団員内訳
歯科医師 13 13人
歯科衛生士 7人 7人
その他 1人 1人
 子どもたちとの交流  274人  195人    
検診人数 272人 194人
処置した人数 270人 190人
処置内容
抜歯 346歯 207歯
サホライド  843歯 790歯     
充填 64歯 39歯
シーラント 4歯
感根処、抜髄等、生切 5歯 3歯
フッ素塗布 78人  35人     
歯石除去  25人 17人     


第90回派遣団報告
団長 上田耕平
今回、我々はハノイ近郊での活動において初めてとなる山岳地帯の少数民族が多く生活しているカオバン省にて活動しました。
ハノイ中心部からバスで8時間と例年と比較して最も郊外での活動となりました。ハノイ近郊の町と比較して、子供たちの口腔内状態はやや不良であり乳歯のC4などの抜歯が必要な歯牙が多かったと思います。
しかし北海道チームのテーマである「抜歯ありきを見直そう」をコンセプトに2台のポータブルユニットを駆使して、なるべく永久歯は保存を目的に治療を行いました。カオバン省を中心とする北部の山岳地帯は、歯科医院も少なく、歯科治療に対する考えもまだ行き届いていない状態です。
この地方での、活動に対する要望がかなり多いそうなので、今後は啓蒙活動などに力を入れ子供たちだけではなく親御さんも含めて歯科治療の重要性を少しずつ認識していただく必要があると思いました。
今回も事前準備で藤岡先生とランさんに大変お世話になり、また現地では、ロイさんをはじめナムディン日本文化学院の理事・先生・学生さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。

初めてのボランティアを終えて
歯科医師 蓑輪 映里佳
今回、ご縁がありましてJAVDOハノイチームに初めて参加させて頂きました。普段、大学病院の小児歯科に勤務していることもあって、ベトナムの子どもたちに会える日を楽しみにしておりましたが、実際に現地に足を運んでみると、子どもたちの口腔内は手入れが全く行き届いていない状況で、いざ治療をしようとしてもどこから手をつけていいのかわかりませんでした。
 経験が浅いこともあり、もちろん診療のスピードは先輩方にはかないません。しかし、私自身が日常の臨床で心がけているTell Show Doは言葉が通じなくても子どもたちに伝わるはずだと思い、子どもたちがなるべく泣かずに安心して治療を受けられる雰囲気づくりを重視しました。
 今回は1日という限られた時間の中での診療でしたので、カルテの指示通りに抜歯をし続けていましたが、診療が終わってからは「あのときの治療は正解だったのか。」「もう少し時間をかけて充填したらよかったのではないか。」と自分に問い続けました。さらには、子どもたちにとってたった一度きりの治療になんの価値があるのか、医療に対する恐怖心を植え付けてしまったのではないか、と帰国以来ずっと考え続けています。これは、実際に体験しないと絶対に味わえない感情だと思います。ボランティアとはこういうものなのかと心と身体で実感しました。自分のなかで今回の活動を自己満足や偽善で終わらせないためにも、ぜひ来年も参加させていただき、自分自身の成長と、活動の意味合いをもう一度見つめ直したいと思っております。
 今回、無事に活動が行えたのも、上田団長をはじめ、たくさんのスタッフが活動の理念を胸に、目的に向かって結束できたからだと思います。活動を通して国境や人種を越えて、皆がひとつのことを成し遂げる達成感を噛み締めました。私の人生のなかでもかけがえのない経験になりました。次に参加するときには、子どもたちにとってもかけがえのない経験になるような診療に努めていきたいと思います

JAVDOベトナムボランティアに参加して
歯科医師 中野 友徳
11月21日から5日間、ベトナムハノイから8時間以上離れたカオバン省へ歯科ボランティアに参加させていただきました。初参加、初海外、初長距離移動で、期待と不安とがありましたが、一緒に参加していた先生、スタッフの皆さんもいい人ばかりで安心して活動することが出来ました。

 初日はハノイに泊まり会計という仕事も任され、初海外なのでもちろん外貨の扱いも初めてでベトナム・ドンの桁の多さにびっくりしました。夜には道具をまとめて詰め直し、いよいよ活動がスタートするのだなと思いました。
 2日目はカオバンに向けて8時間のバス移動です。昼食にはベトナム料理をいただき、日本人でも食べやすいものをチョイスしていただいたのか、おいしく食べることが出来ました。夕方には現地につき、診療準備をしました。今回は、診療日が1日だけということもあり、2日間あるときとは違い前日の反省を活かして翌日につなげるといったことができないということで、事前にできることはすべてやり、万全の状態で当日を迎えようと準備し、最後のミーティングでは「猛スピードで社会構造変革しているベトナム社会からはじき出された子どもたち、家庭内の歯車の歪みから愛情に飢えている子どもたち、心身障害を持つ子どもたちが素直な心と生きる自信を持つための手助けを、主として歯科保健医療を介して行っていくこと。」というJAVDOの活動目的について話していただき、何のために来ているのかということを再認識することができました。
 3日目、ついに診療日です。朝からかなりの数の子どもたちが集まり、今からこれだけの子どもたちを僕たち21人だけで見るのだと思い、またコミュニケーションはどの程度取れるのだろうかと思いながらも診療がスタートしました。このような、限られた時間、限られた資材、そして多くの患者・言葉の壁、また、それぞれの患者と向き合えるのはこの1度だけという環境はこの活動に参加できなければまず体験できなかったことだと思います。活動をしていく中でも、この条件の中で行う治療は何が正解なのか、そもそも正解があるのか…とても考えさせられました。また、自分たちの行った処置によって患者それぞれが今後どのような経過をたどるのか、今日帰ったら痛みがでないだろうか…そんなことを考えながらも、経過を追うことができない歯がゆさも感じました。診療を終えて自分の出来る事は少ないながらもがんばりましたが、やはり、与えることができたことよりも与えられたことのほうが断然多いと思います。反省会においてもいろいろな意見交換ができ、とても充実した活動になりました。
 4日目5日目は帰路についたわけですが、帰路でもこのボランティアを通してそれぞれが感じたことが自然と会話の中にあり、何回も参加している先生やスタッフなども、改善点を話していたりしていて、また行きたい次はこうしたいといった感じでした。
 今回初めて参加させていただいて、正直あっというまに終わってしまったと思います。もちろん自分自身は改善点のほうが圧倒的に多いのですが、過去に参加しているメンバーも、毎回新しいことを感じていることを聞いて、きっとそういった繰り返しが反省会や帰りの話のようなものを生みだしているのかなとも感じました。2回目3回目はまた違う視点で活動をみることができると思いますし、おそらくまた得るもののほうが多いとは思いますが、JAVDOの活動目的も忘れずにまた参加したいと思います。今回は参加させていただいてありがとうございました。
 

JAVDO参加報告
歯科衛生士 藤波 明日香
今回初めてベトナムの歯科ボランティアに参加させて頂きました。
自分にはなにができるのか、何を求められているのか、なにもわからないまま最初は不安な気持ちが大きかったのですが、初日のミーティングでJAVDOの活動目的を確認することで、自分のできる最大限のことをすればいいんだと、少し気持ちが楽になりました。
いざ診療当日になり、まず人数の多さに驚きました。私は紙芝居を担当させて頂いたのですが、何回読んでも次の子供達が待っていて、わざわざたくさんの人が集まってくれたことに喜びを感じました。ブラッシング指導を行うと、口腔内にブラシを入れるのをためらう子がみられ、口腔清掃の習慣が定着していないのを目の当たりにし、口腔内を見てみるとカリエスの多さやその大きさに衝撃を受けました。乳臼歯が崩壊し、保存が不可能な状況をみると胸が痛くなりました。日本ではみることのない口腔内環境に、清掃習慣や知識など日本との違いを大きく感じました。口腔に対する意識が少しでも変わってくれればと思いますが、最初に渡した歯ブラシをどこかに忘れてくる子供の多さから、伝えることの難しさを実感しました。
歯科受診が初めてで不安な表情を浮かべている子や、処置の際に泣き出してしまう子が多く、「他国から来た知らない人たちに嫌なことをされた」と子供達に嫌な感情を残してしまうのではないかと心配していましたが、処置が終わると表情も変わり、手を振ってくれる子もいました。自分達の行っていることを、素直な心で受け取ってもらえたようで嬉しく感じました。
あっという間に1日が終わり振り返ってみると、人数の多さに圧倒され、なかなか思うように動けず、満足して終わることは出来ませんでした。最優先で求められていることを見極めることが出来ず、目の前のことを行うだけでいっぱいいっぱいでした。しかし、他院の方々と診療することや日本とは全く違う口腔環境の子供達を大勢診ること、今回のボランティアに参加させて頂き、学ぶものがたくさんありました。忙しいなか、周りの状況を見て指示を出してくれたり、手伝いにきてくれたり、スッタフの方々に本当に助けられました。衛生士としての経験も浅く、ボランティアも初参加というなかで皆さんにご迷惑をかける場面も多かったと思いますが、貴重な体験をさせて頂いたことに感謝しております。満足のいく1日ではありませんでしたが、とても充実した1日を過ごすことが出来ました。今回の経験を今後の衛生士人生に活かすと共に、またJAVDOの活動に参加させて頂く機会があれば、今回の反省点を踏まえ、少しでも多くのことを現地の子供達に提供できればと思います。


特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構