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第69回派遣報告
団長:     有松 俊明
団員: 歯科医師 岡田 尚則
歯科衛生士 有松 ひとみ
衛藤 恵美
その他 宮崎 誠一
宮崎 陽子

 
活動年月日 2011年9月23日 2011年9月24日
活動場所(施設名等) Thu Thuen Thu Thuen
午前の部 午後の部 午前の部 午後の部
時刻 開始 8時30分 14時15分 8時30分
    終了 13時00分 16時00分 12時30分
派遣団員内訳
  歯科医師 3人 2人
  歯科衛生士 2人 2人
  その他 2人 2人
子ども達との交流
検診人数 34人 17人 53人
処置した人数 25人 17人 30人
処置内容
  抜歯 6歯 7歯 6歯
  充填(レジン) 6歯 3歯 7歯
  充填(アイオノマー) 11歯 7歯 43歯
  サホラオド
  その他(単治、感根処、抜髄等)
歯科衛生士の活動
   ブラッシング指導・口腔内清掃 34人 17人 53人
   歯石除去  2人 2人 2人
    フッ素塗布 25人 17人 30人
   口腔衛生啓蒙活動(紙芝居) 34人





活動報告
団長 有松 俊明
雨の中ホーチミン市街からサイゴン川にかかる橋を渡って到着した活動地は市内とは思えない閑散とした地区にあるカトリック系教会だった。                
サイゴン川をはさんだ向こう岸にはホーチミン中心街の高層ビルがこちらを見下ろして威嚇するように建っていた。タクシーが着いた教会の中庭の先には荘厳な礼拝堂があり、信者のおばさんたちが黙々と掃除をしていた。雨音だけが聞こえる非常に静かなところだ。
教会が仲介をして集まったのは貧しさのため学校にも行けない子供たちとのことだったが、アットホームな環境でやさしい人柄のシスターのもと子供たちは素直でおりこうだ。十数人の子供たちは我々の準備ができるまでシスターと歌を歌って待機してくれていた。
最初に虫歯予防のための紙芝居をした。いつものように子供たちの真剣なまなざしにこちらが幸せな気分になる。例年以上にうけたようで弁士の家内は上機嫌だった。検診は静かに始まり、親と子供が大挙して集まり大騒ぎになることもなく、一人二人とやってきてはこちらの指示に従い治療が終わると律儀にお礼を言って帰って行った。口腔内は多くがどこから手をつけようか迷う状態だったが、痛みを訴える子はほとんどおらず、2日間同じ場所での活動はこれといったハプニングもなしに平穏無事に終わった。トピックとしては保健省の張先生がパワフルに動いてくれて大助かりだったこと。ホーチミンストリートチルドレン友の会のメンバー3人がアシストとして参加してくれたこと。シスターが用意してくれた昼食のブンが絶品だったこと。
診療終了後にシスターからHASHOの歯科診療所で継続的に治療を受けさせたいので問題のある子のリストを作ってほしいとの要望があった。市内の施設で検診を我々が行い、HASHOで現地歯科医師に治療をしてもらうのは有意義なことだと思う。
活動を終えての夜、マジェッスティックホテルのバーからほろ酔い気分でサイゴン川対岸を見ると暗闇の中おごそかに光る十字架が見えた。あちら側の子供たちは光あふれるこちら側をどんな気持ちでみているのだろう。
JAVDO参加感想文
歯科医師 岡田 尚則
この度、初めてJAVDOに歯科医師として参加しました。
初日から、有松夫婦の現地ガイドさながらの素晴らしいガイドに身を任せて、普通の観光旅行では訪れることができないような街中を皆で散策して、ベトナムならではの熱帯気候に加えて、人々の生活の熱気が体を駆け巡りました。
今回のJAVDOの活動場所は、ホーチミン市郊外にあるカトリック教会の敷地内で行われ、我々が到着すると多くの子供達が中庭でシスターと一緒に色々な歌を歌って出迎えてくれ、穏やかな雰囲気の中でDr有松による歯科検診が開始されました。
僕の担当は、歯科治療(セメント仮封orレジン充填or抜歯のみ)をすることになりましたが、当然のことながら教会内に歯科診療台があるわけもないので、長机を2つ並べた上にビニールシートを引いた即席歯科診療台で、ホーチミン大学教授と一緒のブースで治療を行いました。
また、ブラッシング指導とフッ素塗布においては、DH有松さんとDH江藤さんによる熱血指導が全ての受診者に行なわれ大変盛況でした。
今回のJAVDOの運営が滞りなく行えたのは、日本人ボランティアに限らず、ベトナム人の社会人ボランティアと日本語学校の学生ボランティアによる献身的な対応に随分と助けてもらえたことがありました。これは、国や人種を超えてお互いを敬う気持ちが形になって表れたのだと確信しております。
この貴重な経験を今後の日々の医療・福祉活動に活かして、良き医療従事者になりたいと思います。
参加報告
宮ア 誠一 ・ 宮ア 陽子
表題に参加報告とさせて頂いたのは、私共夫婦は歯科診療には無縁のものであるため、あえて活動報告とはしませんでした。今回団長の有松先生には長年にわたり私の主治医をしていただいている関係で我侭を申し上げ何もお役には立ちそうにないが、有松先生ご夫婦のお人柄に惚れ込み夫婦での参加となりました。私は4年ぶり2度目の参加、連れ合いは始めての参加でした。
初日の夕刻、タンソンニェット空港からホーチミンシティの中心に向かうと退勤時間と重なったのかバイクの洪水に遭遇し2度目の私は勿論、初めて参加の他の方々も驚愕の声を上げていました。これがベトナムの強さの秘密であると皆で感じた次第です。
車窓の外のバイクの流れの向こうにフランス統治時代の面影を残した家並みがありそのまた向こうには近代的な超高層ビルがみえる。サイゴンからホーチミンシティに名前の変わった経緯やこの30数年間の歴史を思うと複雑な感慨が沸いてきます。
今回先生方が歯科診療に傾注された子供たちは、不幸な境遇にあり、ある宗教団体の庇護の下にあると聞きました。勿論子供たちは明るく元気一杯でお世話をしている職員の方々も明るく振舞っておりましたが、改めてこの国の有様を考えてみると些か不可解な思いがしました。ただ、国家の体制からしたらこの子供たちの存在は認めたくないのかもしれません。
二日間に亘る先生方また歯科衛生士の方々の奮闘努力にはただただ頭の下がる思いでした。必ずやこの子供たちの将来にいい影響を残してくれると信じております。
このような稀有な経験の場を与えてくださいました団長の有松先生を始めスタッフの方々加えて現地ホーチミンシティのスタッフの方々に夫婦共々厚く感謝申し上げると共にこの熱い活動が末永く続くことお祈り申しあげます。そして、又参加できる日を心待ちにしております。

ベトナムの底力を、ベトナムの皆様の底力を、JAVDOの底力を信じて!
第69回活動報告
歯科衛生士 有松ひとみ
 思い起こすと十年前、突然主人が小学校を卒業した長男を連れてベトナムにボランティアに行きたいと言い出した。私の頭に一番初めに浮かんだのは「ベトナム?あの戦争で有名な?」単純な連想ゲームみたいな単語が浮かんだ。しかし、その年はSARSで渡越できず、次の年は年子の次男連れて行く予定が鶏インフルエンザでまたもや断念。実現しそうな3年目に、部活に没頭している息子達の代わりに私が抜擢されたが、あまり乗り気はせず久しぶりに海外旅行に行ける興奮だけあったように思う。あれから10年。私ははまってしまった。この活動を一生通じてのライフワークにしたいと考えている。無理せず、心のままに、そして情熱を持ち続けて・・・

二年続けて6月の活動だったが、今回は雨季9月のタンサンニャット空港に降り立つ。灼熱の光一杯のベトナムではなくどんよりとした雲に覆われた空模様、薄いカーディガンを羽織らなければ寒いと感じる。今回、従来のベトナム航空でなく、台北経由中華エアラインを使ったため到着時間も夕刻に近く、いつもと感覚が違うのかもしれない。6時過ぎに事務局へ行くとニエ君が待っていて、手馴れた様子で荷物を搬出しては、私たちが荷物チェックを行いあっという間に準備完了。いつもお世話になる沖本さんがいないのが寂しいが、ご主人のアンさんがわざわざ尋ねてきて、『妻の代わりに(言葉には出さないが・・)』と笑顔を見せてくれたのが嬉しかった。その日の夜はアヘン工場跡に建つレストランでベトナム料理を味わい、次の日に備えた。

 一日目。ベトナムの繁栄を象徴するかのような高層ビルが、川を隔てて見下ろしているホーチミン市6区の教会は、素朴だけれど清潔で凛とした雰囲気で建っていた。トタン屋根の家が多いこの周辺の子供達は、小学校に行く時間に宝くじを売り、僅かばかりのお金を稼ぎ、生計の足しにしていると聞く。広場には30人位の子供たちが整然とベンチに座り待っていたので、早々と準備にかかるが、団員を始め通訳ボランティアの学生4人も率先して動いてくれたので、あっという間にセッティングが完了する。検診前、持参の紙芝居をベトナム語で披露すると、食い入る様な眼差しで見つめる子供たちに、いつもながら胸が熱くなる。彼ら彼女らの中には『歯磨きしましょう』とか『甘いもの控えてね』と簡単に言えない境遇であるかもしれないが、歯に良い事と悪い事を知ってほしいし、夢をもって生きてほしいと願う。その後、受付→検診→治療(充填または抜歯)→ブラッシング→フッ素塗布と流れを作り、其々のパート担当者は汗を流しながらでも和気藹々の空気感に包まれ、泣く子供も殆どいなかった。しかし、残根状態の6番や歯間部カリエスの前歯、表層まで腫れている子等、口腔状態は非常に悪い。可能であれば衛生指導を続け、包括的な口腔環境改善を実施したいと切に感じた。この日のトピックスは、ベトナム保健省の歯科医師とストリートチルドレン友の会の方が様々な場面でお手伝いをして下さった事だ。32年間デンティストを続けていると語る張先生は、次々と抜歯をしながら、ユーモアたっぷりの会話と歯科治療の持論を熱く語ってくれた。投薬の量が日本の子供に出す量より極端に多いので心配になって何度も確認したが、「それでよい!僕を信じろ!」ときっぱり言い放つ。別れの時には、「ベトナム語しっかり頑張れ!」と後ろ姿で手を振り清清しくニヒルに去って行った。また、友の会の方には滞在期間中、偶然に2回も出会いきっと縁があるのだと話し、さらなる再会を約束した。
二日目。同じ場所なのですぐに受付が始まり、スムーズに流れ半日で昨日以上の人数をこなした。4歳位の女の子が11ヶ月の弟を抱き子守をしている光景や、机に寝て治療を受けている子を励ましている友人の姿がほほえましかった。40年以上に亘って、周辺の子供達に字を教えお世話しているこの教会のシスターは、一人一人に声をかけ、優しくけれど決して甘やかすことない対応で活動中ずっと傍にいてくれた。私達に提供して下さった手作りで心のこもった昼食(香辛料を入れたヌックマムにつけて食べる蒸した麺)やおやつ(バナナをつぶしココナッツと砂糖をまぶし冷凍させたもの)は本当に美味しく、小柄ながら背筋をスックと伸ばした彼女の姿が、多くの人々の心の支えになっていることだろうと思う。活動が終わり、打ち上げで訪れたホテル最上階のバーから、小さな明かりの灯る川沿いの教会を見つけた時、シスターの姿と重なり、またベトナムから心の栄養をプレゼントされたように感じた。
温かい雰囲気で包んでくださった宮崎御夫婦、穏やかな岡田先生、笑顔が最高な衛藤歯科衛生士、毒見と称し一番に食事を食べ始める団長、変わらない事が魅力的なニエ君、今回の活動にご協力頂いた皆様に感謝です!
ボランティア活動に参加して
歯科衛生士 衛藤恵美
今回、初めてのベトナム、初めてのボランティア活動という事で初めは緊張していましたが、有松先生夫婦を初め一緒に行った方々、現地のコーディネーターの方や通訳の方が、気さくに接して頂いてそしてなにより 現地の子供達の笑顔に肩の力が抜け楽しく子供達に、ブラッシング指導をする事が出来ました。
通訳の方のおかげもありますが、私の身振り手ぶりの説明にも子供達は答えてくれ、一生懸命ブラッシングするする姿に言葉は繋がらなくても 心は繋がっているように思いました。
また 子供達の笑顔を見に参加させて頂きたいと思います。




特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構