0

第55回派遣報告
団長: 中條 新次郎
団員: 歯科医師 宮松 富士子 サポート
平井 公人
内海 由紀子
その他
伊永 早希
内海 敏行
野口 佳菜子
太子 郁美
甚佐 紗耶

 
活動年月日 2009年8月14日 2009年8月15日
活動場所(施設名等)
全日 午前の部
時刻 開始 9時30分 8時30分
    終了 16時00分 12時00分
派遣団員内訳
歯科医師 4 4
歯科衛生士 0
その他 5 5
子供達との交流 0 0
検診人数 59 64
処置した人数 48 23
処置内容
抜歯 32 16
サホライド 68 0
充填 14 9
歯石除去 0 2



     2009.8
    中條  新次郎
 初日、訪問したところでは、事前に100人の希望者があったようだが、1日を通してその半分程度しか来なかった。理由はよく分からないが、ホーチミンからサイゴン川を渡り、さらに車で進まないといけない田舎では、農業が中心でその作業時間との兼ね合いもあったようだ。
行くと既に、大学の先生方が診療台をセッティングしていた。簡易診療台でコンパクト、尚且つタービンがついている。日本ではお目にかかったことは無かった。治療的には子供たちの人数が少なかったのでストレスは無かったが、日陰とはいえ、屋外の治療であったためやはり暑かった。当然汗をかいたが、帰りには既には乾いていたわけで、着替えることが無いのは、いいのやらという感じである。
二日目は障害者を治療した。障害の程度はまちまちではあるが、付近の会社で現に働いている人たちであるので、身体的障害、たとえば車椅子、松葉杖、であって、コミュニケーションの点では問題なかった。多くは自己管理が良くデンタルチェックを望むのもだった。
しかし、中には欠損歯数の多い人もあり、デンチャーを希望されると、出来ないことを謝らなければならないことは残念なことであった。
実は初日、2本のサホライドを用意して行った。1本は既に残存量が少なかったが、もう一本はキャップの不具合によりそのほとんどを失ってしまった。二日目の前にサホライドを切らしてしまった為、代替品も無く、町へ求めて探しに行くことにした。夕食も遅れて、薬局(あるはずは無いのは分かっているが)を数件周り、歯科医院を2件尋ね歩いた。時は既に8時を回っていて、歯科医から紹介された材料店に着いた時は既に時遅しであった。この時、開業医はさすがにフッ素やサホライドを使っているだろうと思ったが、2件ともそのようなものは無い、使っていないとの返事だった。フッ素は無いか?と聞くとフッ素入りグラスアイオノマーを示す始末だった。結局、二日目にはサホライドを使うことは無かったので、事なきを得たのだが、ベトナムでフッ素をあまりに使われていない事に驚いたことであった。
今回は衛生士の資格者はおらず、不安が多かったが、大阪の衛生士学校の学生3人組みが明るく元気に頑張ってくれたため、大変助かった。彼女たちも不安が多かったと思うがその分良い経験となったと思うし、ボランティアに貢献してくれたことは間違いなく、感謝したい。
 他にも多くの人達が支えてくれていることにも感謝して、お礼を言いたい。

      ベトナムでの歯科治療ボランティアを経験して
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・歯周病態学分野 平井公人
 今回初めてJAVDOの活動に参加して、歯科治療ボランティアを経験しました。ベトナムに訪れるのも初めてでしたので、路上を走るバイクの数と、思っていた以上に高層ビルが多く、経済発展が進んでいることに驚かされました。後で調べて分かった事ですが、ベトナムは諸外国から有望な新興市場として認識されていて、多くの直接投資を受けており、急速に経済発展が進んでいるようです。でもやはり、市街から少し離れると風景がとたんに変わり、経済格差が大きいことが感じられました。
 歯科治療は2日間行い、そのうち初日は抜歯を担当し、2日目は検診を担当しました。初日は野外での処置となったので、暑さと緊張と焦りが合間って汗が止まりませんでした。子供たちの口の中は予想以上にむし歯だらけで、ブラッシングの習慣や、口腔内への関心がない、そのような教育を受けていないと感じました。
 現場で提供できる治療としては、時間や機材の関係から、歯内療法、補綴ができないため、充填、サホライド、抜歯の一日で完結できる治療になります。
実際に治療をしてみて感じたこと、また中條先生とのディスカッション(ホテルで夜遅くまで、たくさんのことを話して頂きました。)の中でも話題に上がったことですが、「継続的でない単発の歯科治療がどれだけ子供のためになっているのか考えることがある」ということを自分でも考えるようになりました。もっと公衆衛生活動を行い、子供やソーシャルワーカーに対して啓蒙活動を充実させたほうが長期的な視点でみて、効果が上がるのではないかと。
確かに啓蒙活動は重要です。しかし現状は治療を必要としている子供がいて、治療が受けられない子供がいる。そして自分は歯科医としてできることがあるならすべきではないか、とも思います。
 いろいろ考えてはみるものの、ベトナムの歴史、経済、生活水準など、知識が足りないと感じました。ベトナムのことを何も知らないのに、何が出来るか考えるのはナンセンスかもしれません。
 ストリートチルドレンのために教育や、職業訓練を行っているFFSCを訪問した際に吉井美知子さんという方にお会いしました。その方にお話を聞き、また、著書の「立ち上がるベトナムの市民とNGO」という本を読ませてもらい、多くのことを知りました。
 ベトナムでJAVDOのようなNGOは多く存在しているが、政府からの圧力で、かなり活動の制限を受けているようです。しかし、NGOが何とか活動できているのは、政府の中に協力してくれる官僚がいて、その官僚が持ちうる権限で、NGOが活動できる幅を広めてくれている、またそれを市民のニーズが後押ししているのだと書いてありました。
 NGO、協力してくれる官僚達、市民のニーズ、これらの力が、政府の体制を変えてくれると良いなと感じました。そのためには微力ながら今自分たちにできることを、とにかく継続して行っていくことが重要なのかなと思います。
 次回からの活動の方向性として、FFSCの施設を中心に行っていくそうです。ソーシャルワーカーへの公衆衛生学的な啓蒙活動を充実させ、歯科治療に関してもFFSCの子供達を中心に行い、経過を追える、継続的な治療が出来るようにデータを蓄積していくそうです。
 今回は5日間という短い間でしたが、これまで経験してきたこととは違う、多くのことを肌で感じ、考えることができ、視野が広がりつつあることを実感しました。今回得たことをぜひ次に生かしたい気持ちで一杯です。
 最後になりましたが、5日間の間、様々な人たちの好意に恵まれ、サポートしていただき、2年目歯科医の若輩者が何とか歯科治療を行うことができました。食事や交通の面でも困ることがありませんでした。特に中條先生には何から何まで大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

活動を終えて                                                      野口佳菜子
 まず最初に団長の方からできることとできないことで、葛藤があるということを聞いていました。活動を初めて、その通りだとすごく思わされました。日本での治療の感覚で口腔内を見てみると目が飛び出しそうになります。私たちが思う完璧にはほど遠い状況でした。もし根官治療ができるならもう少し延命することができると思われるが、今治療できることは抜歯か見送り…次に治療できると言うときには抜歯という選択肢しかないかもしれないのに…と思うと悔しくてなりませんでした。
二日目に私は検診についていました。そこでの診断もほとんどが抜歯で軽いう蝕くらいしか治療できなかったです。しかし今は痛みのない残根歯を食べにくくなったり歯が移動してしまうという理由で今は治療しない方がいいと何もしてあげられずに帰ってしまう方がいっぱいいてすごく手持ちぶさたな気分で見送っていました。
私はまだ学生で知識はもちろん、技術もなく、直接何か治療をという訳にはいきません。よけいに自分の無力さを感じました。
できることはほとんど無いけれど、いつかまた活動に参加できればと思っています。

JAVDOの感想                                                      甚佐 紗耶
 今回JAVDOに参加させてもらった理由は、ある歯科衛生士さんとの出会いの話の中で『海外ボランティア』を知ったのがきっかけです。医療の中でも歯科の海外ボランティアがあるなんて知りませんでした。話を聞いてすぐに興味を持って絶対に行って自分自身で体験してみたいと思ったからです。
実際に参加してみると、助手経験もなかったので本当に分からない事だらけだし、最初は凄く戸惑いましたが先生やボランティアメンバーの指示を聞いて少しでも助けになりたいという思いで動きました。わからないときは周りの人に声をかけて聞いたり、少しずつ慣れていけたと思います。日本で受ける医療のようにいかなくても、その国、その地域、その人にとっての最善があるということも知りました。
口腔内を見て正直凄く驚きましたが、見れただけで勉強になりました。
一致団結して、素晴らしい体験ができました!!私の人生の中でとても大きな貴重な経験をしたと思います。JAVDOに参加して感じたこと勉強になった事はたくさんです。
ベトナムの人々の為にまだDHの資格がないわりに、その環境で自分ができることを行動し少しでも役立つことができていたなら幸いだと思います。
メンバーのみなさんもとても優しく面白くて、真剣に楽しく活動できました。

  JAVDO感想文                                           歯科衛生科学生 太子郁美
前に一度JAVDOに参加した方の話をきき、今回初めてJAVDOに参加しました。
私はまだ学生で、経験もなく、資格も持っていないので自分にできることがあるのか、不安でした。しかし、実際にベトナムにつくと、メンバーの方がとても優しく迎えてくださり、どんな治療を行っていくのかを事前に教えて下り、安心しました。
2日間で2か所に行きましたが、1日目は子供たちで、2日目は障害者の方が中心でした。
緊迫した雰囲気になるかもしれないので、焦らないようにだけ気をつけてね。とアドバイスを頂いて始まった治療でしたが、今回は穏やかな雰囲気で、学生の私も落ち着いて行動することができました。
診療にこられた患者さんの口腔内は、あまり見たことのないような口腔内で、抜歯をする方がほとんどでした。日本語はもちろん、英語も通じない状況で、患者さんにうまく説明もできず、抜歯を怖がる人たちを励ます言葉も通じず、どうやってコミュニケーションをとったらいいのか、とても考えさせられました。とにかく、できる限り笑顔でいようと思っていました。
日本にいれば、言葉の壁がほとんどなく、コミュニケーションも簡単に取れますが、今回JAVDOに参加したことによって、本当のコミュニケーションって何だろうとか、私は! DHを目指しているのですが、患者さんとコミュニケーションをとって安心して治療に臨んでいただけるようにすることも、DHの仕事で大切なことなのだとすごく考えさせられました。
こんなに素晴らしい経験をすることができ、JAVDOに参加して、本当に良かったです。
また、ぜひ参加したいです!

 最後に、今回お世話になったJAVDOのメンバーの方々、通訳をして下さったり、いろいろなことを教えて下さったベトナムの方々、
来て下さった患者さんすべてに感謝いたします。  ありがとうございました。


特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構