0

第45回派遣報告
団長:           中條 新次郎
団員: 歯科医師 高柴 正悟
小田 隆
榊 由紀子
歯科衛生士 片岡 綾子
奥山 実和子
渡辺 朱里
その他 トムルホー・ツァンサン
茅先 健太朗
内田 宏城
歯科技工士 中田 真吾

 
活動年月日 2008年3月2日 2008年3月3日
活動場所(施設名等) Benh Vien Da Khoa Huyen Nam Truc Khoa Khoa Benh
午前の部 午後の部 午前の部 午後の部
時刻 開始 8時30分 13時30分 9時00分
    終了 12時00分 15時30分 11時30分
派遣団員内訳
歯科医師 4人 4人 4人
歯科衛生士 3人 3人 3人
その他 4人 4人 4人
検診人数 84人 49人
処置した人数 84 49人
処置内容
抜歯 25歯 17歯
充填  48歯 27歯
サホライド 39歯 20歯
歯石除去 18人 2人





大学との協調において
中條 新次郎
ベトナムでのボランティアの成功は藤岡代表を始めとする事務局、HASYO,現地スタッフ等々多くの方々のおかげであるのは当然ですが、今回の訪問の成功は、岡山大学医歯薬学総合研究課教授 高柴省吾先生の協力である事をまず述べておかねばなりません。岡山大学では次代の国際貢献を担う人材の育成を目的にカリキュラムを組もうとしています。その人材育成を熱心にお考えの高柴教授の好意により、今回は岡山大学歯学部の学生、大学院生の参加が学長裁量経費という資金を得て参加が可能となりました。

JAVDOのメンバーとしては、この形に異論を投げかける方もおられるかもしれません。JAVDOは一地方大学の為にあるのではなく、一人一人が貴重な時間と私財を投じて行うものであるという声です。確かにそうであると自分も思います。しかし、同時にこの活動にできるだけ多くの歯科関係が参加できる環境を作ること、我々の後に続くボランティアの精神を持つメンバーを養成するため、自分は高柴先生のお考えに賛同しました。従って、学長裁量経費とはいえ、JAVDOのメンバーとして登録して頂き、同じTシャツを着てボランティアにあたって頂く事としました。結果、学生に意識は高く、とても良いチームとしてスムーズな活動ができたと満足しています。その様子はそれぞれの個性あるまた将来有望な若い学生諸氏の感想文に現れているように思います。短い時間でしたが高柴教授の教育者としての熱意と発展途上ではあるが、それぞれに見所のある学生のエネルギーに触れる事ができたのは、自分にとっての収穫でした。

この訪問を行うにあたり、岡山で国際貢献と言えば、世界のNPO「AMDA」となった代表の菅波先生等と一緒に歯学部内において国際貢献のシンポジウムを行いました。

「なぜ日本から来て私たちをたすけるのか?」と相手に問われたらどのように答えるのか。

菅波先生は問いかけられた。この度のシンポジウムを機会に、この問いに対して、大いに自問自答することができました。今までは、きっかけが軽い気持ちで始めたことですが、それなりに「自分でできる事は?」と問いながらつづけ、7年という歳月の間に個人の勝手な自己満足ではすまない状況に追い込まれている様に感じました。「一回、二回では誰も本気にしないよ。三年でやる気だな、5年で本気かな?7年やったら、周りが本当に本気だと認めるから」と菅波先生は言われました。実感します。我々の発言や行動が後に続く後輩たちに多大な影響を及ぼす事が実感として感じられ、また良い影響を及ぼす指導者としての責任を感じさせられたからです。つまり、個人の参加ボランティアでありますが、もはや、その域を出て、広く認められる社会的な存在になってきている様に感じています。それは、中国新聞の記事(中国新聞2008年3月2日)からもそれが読み取れます。我々の活動は注目に値するもののようです。

これからのボランティアの形をどうするか?自分の役割と目標は?学生の国際貢献の流れと大学との協調は?改めて自分のボランティアの方向性を問われる機会となりました。

改めてこのような機会を与えていただいた代表と高柴教授に感謝します。
感想文
歯科医師  榊 由起子
今回でベトナムでの診療も3回目となりました。

1回目は自分自身、歯科医師としての経験も不十分で、ただ、目の前の子供さんの歯を必死で抜きました。

2回目は初めて来られる方々と一緒でしたので、セッティング・準備など、ミスがあってはならないと、とても緊張しました。

今回は、また特殊で、たくさん大学の後輩が来てくれました。初めてのベトナムでの診療、どんな風に感じてくれるのか、楽しみでもありました。

1日目は、予定の半分しか来られず、2日とも比較的ゆったりしたスケジュールだったように思います。比較的、子供の口腔内も落ち着いていたので、充填・除石・TBIを多くの子供にすることができました。

ベトナムの子供達は、身近に医療が受けられるわけではありません。毎食歯磨きをしよう、という習慣がどのくらいあるのか、私たちが行くことによって、どういうメッセージの発信の仕方をしたら、現地での生活が少しでも変化するのか、毎回自分に問いかけてしまいます。ベトナムでの歯科診療所の状況を聞いてみると、一般の方々が受診することが習慣になるには、まだまだ時間がかかりそうです。

しかし、今回私たちがしたように、除石やTBIすることによって、少しでも自分で自分の健康を守れるんだ、という意識につながればいいな、と思います。歯のことに限局すると、緊急性がないとも言われることがありますが、公衆衛生という視点ではとても重要な分野に絡んでいける可能性があります。

最近では、ベトナムにも肥満の方がおられるそうです。幼少時代から虫歯が多いと、体の発達が遅く、細くなると言われます。

これからも、ベトナムの方々の健康への意識が高まるように、豊かな生活が送れるように、この活動が続いたらいいな、と願っています。

最後になりましたが、日本では感じられない感動をたくさんさせていただくきっかけを頂いた、中條先生を初め、スタッフの方々に感謝でいっぱいです。
ベトナム感想文
小田 隆
 中條先生の元で働かせて頂いて約1年、今回初めて国際医療ボランティアとして参加する機会を与えて頂き、様々な経験をすることが出来ました。いざ現地に入ってみて感じたことは、昨今めざましい発展を遂げている東南アジア諸国とは言え、まだまだ『器』としての都市の発展に伴うほど生活や公衆衛生のレベルが付いて来ていないということでした。むしろ逆に、先進国からもたらされた甘い食べ物やジュースなどの享楽的な部分のみが定着してしまい、大人たちに自らその習慣を律する部分が育っていないために、子どもたちの口の中にそのしわ寄せが来ている感じさえ受けました。

実際、まだ生えたばかりの永久歯が手の施しようのない程に傷んでしまっている様を目の当たりにして、自分に何が出来るのか?と深く考え込まない時はありませんでした。

 今、我々がボランティアの診療の中で行えているのはまだまだ『出来てしまった虫歯や、目の前の痛みをどうするか?』といった後手に回ったケアに終始しています。しかし将来的には『これから先、健康(な歯)でいるためには今何をするべきなのか、何を自ら律するべきなのか?』という根本的な考え方の部分を育てていかなければ、これから先も子ども達は同じ痛みを繰り返してしまいます。
我々は確かに、資材も滞在期間も限られた中で『出来ること』しか出来ません。しかし、その中で少しずつでも、特に日頃から子どもたちに接している大人たちに良い種を蒔くことが出来れば、いつかは健康という良い実を実らせるかもしれません。

『今回もむし歯の子は少なかったねー。みんな歯磨きも頑張ってくれてるし!』と明るくスタッフと語りながらホーチミン空港を後に出来る日が来るのを願ってやみません。

 尚、最後にはなりますが、今回機会を与えて下さった中條先生、高柴先生を始め参加された先生方やスタッフの皆様、通訳をして下さった方々や便宜を図って下さった方々に、深くお礼申し上げたく存じます。有り難うございました。
JAVDO感想文
片岡 綾子
前回8月に続き、4回目の参加になります。

今回今までとは違う驚きがありました。   ベトナムの空港が新しくなり、近代化したことと、バイクはヘルメット着用になったことです。バイクの数には相変わらず圧倒されますが、今までとは少し違うベトナムを見ることができました。

今回2日間で約150人ほどの子供たちを見ることが出来ました。 初日は孤児院、2日目は障害児施設へ行きました。 孤児院では年齢層も幅広く、低学年から成人までいました。子供たちの口腔内はもちろん悪く、永久歯を抜歯しなければいけないケースも少なくありません。日本の子供たちは乳歯が永久歯に生え替わることも、親から自然に教えてもらえますが、こちらの子供たちは生え替わることも、なぜ治療が必要なのかも知らないことが多いと思います。  しかしどの子も、泣いていても、きちんと口を開けてくれ治療を素直に受けてくれます。  

今回学生の方々の協力があったお陰で、衛生士の仕事(スケーリング)を行うことが出来ました。年齢が大きくなると永久歯のカリエスより縁下の歯石が目立って多く感じました。

ハンドで取れる範囲しか出来ませんでしたが、次回またスケーリングの時間が取れるようであれば、超音波スケーラーなども用意できればいいと感じました。

日本も治療から予防重視になってきていますが、このままボランティアを続けている間に

いつかベトナムも予防に力を入れられるようになればいいなとおもいました。

そしてそれが実現するように考え、努力していきたいと思います。

今回とても楽しいメンバーで、有意義な時間を過ごすことが出来ました。

高柴先生、学生のみなさん、渡辺さんから学ぶ物がたくさんありました。ぜひまた一緒にボランティア出来たらうれしいです。中條歯科から小田先生、榊先生、奥山さんたくさん助けて頂いて有り難うございました。 そして今回も同行させてくれた中條先生、有り難うございました。
中條歯科医院 歯科衛生士  奥山実和子
 今回は、4回目ベトナムボランティアの参加でした。
約1年ぶりのベトナムに着いて、まず私がびっくりしたのは空港です…

 薄暗かった建物から明るく高級感溢れる建物に変身していたのには驚きでした。
後、去年の11月から交通ルールがから変わったらしく、今までノーヘルオッケーだったのが違反になっていたのにもビックリでした!
ベトナムでの見慣れないヘルメット姿には、なぜか違和感をすごく感じました。
1年ぶりでしたが、急速に発展し続けているベトナムを肌で感じる事ができました。
 
 今回は、11人での参加でした。その為治療以外にも予防処置で、TBI、ブラッシング指導や歯石除去なども行う事ができました。
私は、2日とも充填のアシストに付かせて頂きました。
まだまだ乳歯ばかりの口腔内に残根状態のカリエスや歯石もたくさん付着している状態…
中には永久歯が残根状態で抜かざるをえない状況であったり
すでに永久歯が抜かれてない状態の口腔内と日本ではありえない光景を今回も、目にすることになりました。
でも、治療後に私たちからのプレゼント(Tシャツ、鉛筆とスーパーボウルなど)をもらって
嬉しそうにする子供達の笑顔を今回も見る事ができ、診療の疲れもふっと忘れさせてくれました。
そして、今回もボランティアに参加し、2日間の診療を終えて大きな達成感となりました。
 今度は、まだ行ってないうちのスタッフに是非このベトナムの現状と風土など、体験してもらえたらなと思います。
 
 最後になりましたが、私たち中條歯科のドクター、スタッフと一緒に活動させて頂いた
高柴教授、小田先生、かやさきさん、渡部さん、内田さん、中田さん、ツゥアさん、現地でお世話をしてくださった
ミーフン、まきさん、ニェくん、その他スタッフの皆様、通訳をしてくれた学生さん達、皆様本当にありがとうございました。
ベトナムでの国際歯科ボランティア体験
歯学部6年次生  内田宏城
今回,岡山大学学長裁量経費のプログラムによって支援を受け,JAVDO岡山主導の国際医療ボランティアに参加させてもらい,ベトナムでの歯科診療活動や現地での様々な活動を通して非常に貴重な経験を積むことが出来た。

こういった類の活動が存在していることを漠然とは知っており,またボランティア活動に対して興味があったものの,なかなか機会が無かったために実際に何か行動したことは無かったが,機会があればと思っていた。そこへ岡山大学学長裁量経費のプログラムによって,卒業生が主導する国際医療ボランティアに参加してベトナムに歯科診療を行いに行く学生を募っていることを知り,またと無い機会であると思い参加を希望した。

現地では,7年前から通訳として来てくれている方と日本語学校の学生が協力してくれた。初日はホーチミン市内のLong Hoa教育孤児施設という施設(寺院のような場所)に行き,その場で学校の教室(講堂)のような場所に机や椅子などを用いて仮設の診療所を設置し,80名ほどの孤児(4歳〜23歳)を健診し,必要に応じた治療を行った。午前の診療を終えると,その場の子供たちと一緒に昼食を食べ,午後には習慣なのか昼寝の時間が1時間ほどあり,その後再び診療を行った。4時頃に予定の診療を全て終了し,お土産を子供たちに贈呈し,子供たちから感謝の意を受け取り,しばしの触れ合いの後に記念撮影を行った。

二日目,同じくホーチミン市内Rang Dong障害児学校に行き,前日と同様に現地にある教室(狭かったため2教室)で机や椅子などを用いて仮説診療所を設置し,70名ほどの小児(3歳〜13歳の様々な程度の障害を持つ)の健診及び治療を行った。午前中に予定していた診療を全て終了し,昼食を取りながら校長先生の感謝の意を受け取り,記念撮影を行った。

二日間のベトナムでの歯科診療を通して,自分が思っていたよりも子供たちの口腔内の環境が良いことに驚いたが,そうは言っても日本と比較すると口腔内に関する意識の低さを感じたため,口腔内に対する意識と予防の知識が必要だと思った。また治療が一度きりであること,一人にかけられる時間が限られた中で優先順位を判断し,現地の子供にとって最優先な治療を選択するという治療を行ったため,日本での治療選択との違いも感じた。

今後の課題として,一度きりの治療ではなく定期的に診療を行えるような環境を作れたらより良い診療が行えると思った。しかし,実現するには費用の問題や人材の問題も存在すると感じた。

このボランティアを通して,異文化の地での活動の難しさ,他人に感謝されることの素晴らしさを感じ,ボランティアは本当に沢山の人の協力があって初めて実現するのだということを実感することが出来きた。また,それによって人と人とのつながりの大切さと強さを再確認し,医療の原点はボランティアと大変近いところにあることに気づかされた。また,やってみないとわからないこと,気づかないことの多さを痛感し,自分にとって本当に貴重で有意義な経験となり,まさに「親切は人のためにあらず」であった。今回この機会を与えられたことに感謝し,このような活動の素晴らしさを人に伝え,いつかは自分がこういった機会を与える側になりたいと思った。
ベトナムに行って思ったこと
歯学部6年次生 茅先健太郎
雪間の草の春を見て、穏やかにその息吹を感じるのが日本だとしたら、ベトナムは春一番。

その風が春自体であることと同じように、ベトナムは雪をも溶かすような人たちの熱気溢れる、若草の臭いに満ちた春風。それが今回のボランティア活動を通じて感じたベトナムの印象です。
(日本に帰国し、色々思うこともありましたが、今回の活動を通じて感じたその時々の感情を私自身大切にしたいと思っております。それ故レポートを書くにあたり、現地での日記をそのままここに記載したいと思います。ただ、私の知識・思慮の浅さ、感情に任せて書きなぐっている等々、それに伴う読み難さ。読まれる方に努力を要することを思い、心苦しいのですが、どうか御容赦ください。)

【三月二日】

(一日中診療があり、多忙な一日でした。ベトナムには昼寝の習慣があるらしく食事を含め、二時間ぐらい空白の時間があったため、その時に書きました。また、下記の日記にはムツゴロウが登場します。施設のすぐ後ろをを流れる川の泥地で見つけました。ただ、ムツゴロウらしき生物であるのは分かるのですが、私自身の知識・努力不足でその生物が一体何者であるのか分かりません。二本の前足のような胸ヒレで、力強く泥地を飛ぶ様に掛けまわっていたのを覚えています。)

川でムツゴロウのような生物を見る。

縞ドジョウのような模様。

茅や干潟にとびうつり、暑さをしのいでいるやう。

対岸にあるベトナムでは(日本でも)立派な建物。その家の庭では、子供が走り回り遊んでいる。孤児院からその風景を見なければ大変微笑ましいものだろうが、孤児たちは、その景色をどう見ているのだろう。もはや当然のことと享受し生きるか、世を憂い悲観するのでは…と思うのだが、彼等は笑顔だ。その強さは一体どこからくるのか。一度死を決意したことのある人間(学生生活が上手く行かず、自身に落胆し死を選ぼうとした時期がありました)として、感傷的になるぐらい彼等の笑顔は澄んでいる。

彼らはある意味ムツゴロウなのかもしれない。ムツゴロウは泥を食べ、その中の栄養分を摂取しているという。日本の「苦しい」を表現する慣用句として「砂を噛む」という言葉があるが、彼らは砂を噛み、ムツゴロウのように地中から英気を貰い、ひょうきんではあるが、干潟の王様たるべく、無邪気な笑顔をするのであろう。

【三月三日】

(午前は診療。あまり時間もなく、ホテルのロビーであぐらをかき雑記したのを覚えています。仮の診療室に吹いた風が心地よく、日記には書いていませんが、その学校の校長先生がパワフルでした。ベトナムの女性の強さを知った一日でもあります。)

節句。

「生きる」ということを考えた。その言葉に含まれる意味は多種多様と思うが、ベトナムに来てその答えは一つしかないような気もする。「生きる」ということは「生かされている」ということ。

診療中、一陣の風が吹くと人は自然の営みの中にあることを感じ、患者が笑うと人間の尊厳を考える大事さを学び、友人が笑うと鼓動はもっと陽気に鳴り響く。人間は生かされている。その根源が大地にあること、もって人の瞳に光が宿ること。「生きる」偶然に感謝。

最後になりましたが、感謝の意を書します。このボランティア活動に参加させて頂き、私自身得る物は非常に大きいものでした。その大きさを日記から垣間見て頂ければ良いと思いベトナムでの記憶を記しました。

また活動に御尽力下さった方々に感謝の言葉を述べたいと思いますが、ただ私の筆力では余りに過重な責務で、感謝の意は社会に貢献して、その行動において…ということで。

(無責任な文章の締めくくりではありますが、本当にありがとうございました。)
レポート(ベトナムでの国際医療ボランティア)
歯学部4年次生  トムルホー・ツァサン
 2008年3月1日から4日の間,ベトナム国のホーチミン市における日本歯科ボランティア機構(JAVDO)の活動に,岡山大学学長裁量経費でのプロジェクト「東南アジアにおける国際歯科医療貢献実地体験学習」に応募して,参加してきた。このボランティア活動に参加した理由は,母国(モンゴル)にいた時に日本からの医療ボランティア活動での通訳者,アシスタントあるいは講義に学生として参加してきたからである。故に,常に支援活動を受ける側となっていた。そして,いつも「どうして私たちのために,何を求めてボランティア活動してくれているのか」ということを質問に思っていた。したがって今回は,ベトナムへの活動を機会にこの質問の答えを求め,視点を変えてみたいと考え,参加することを決意した。

歯科診療の一日目は,孤児院で一緒に行ったスタッフの診療の現場を見学した。子供たちの誘導や懐中電灯を使って明かりを照らしながら,見学した。二日目は障害児施設で同じことをする合間に,歯磨き指導にも挑戦した。

今回のボランティア活動から色々なことを感じ,色々なことが考えさせられた。まず,私が求めた質問の答えを,ボランティア参加者の私も含めて,目的はそれぞれ違うから他の場所から完全な答えを見つけ出せることはないと考えた。しかし,全般的に感じられることがあった。それは,今まで親,先生,先輩,友人など周りの人から得た幸せを自分ができる形で社会に返し,それによってまた回りから幸せを得るサイクルを作っているように感じられた。活動全部を通じて,人と人の関係の中で思いやりが基本であるように感じた。また,他国の事情を見ることによって,母国と日本の医療や社会の比較,考え方の見直しができる機会でもあった。一番インパクトを受けたのは,自分の勉強の足りなさであった。学問の面でも社会の面でも人間関係の面でも勉強,気配りが足りていなかった。また,(歯科)医療とは終わりのないものであることを改めて思った。一期一会から覚えること,縁があることの幸せを感じた。

歯科診療からは,材料,機械,時間に限られている環境の中,治療方法の選択肢が非常に限定されてしまう。このような場合だからこそ,患者の人生をその場に限って診るのではなく将来を考えた治療の優先順位をつけて治療していくことが大切であることがわかった。また,日本で普通しないような治療は応急処置としてするしかない状態にある人がいる。その人にとっては将来のことよりも現在の主訴に対して処置してほしいという場面を,観察した。ここから,どんな社会においても,医師が勝手に医療を行うのではなく,患者の意見,希望を重視して医療を行うべきであると改めて教えられた。また,歯磨き指導をしてみて,その場で行った行為について後から反省した。その例として,患者に知って欲しい,日常生活でやって欲しいことがたくさんあるが,それを全部いっぺんに伝えるのではなく,その人にとって,一番大切な点を絞ってきちんと伝えることがより効果的であることを感じた。また,患者と会話して,たとえ歯磨きのことでも,背景を聞かずに,勝手に寝かせて指導していた。言葉の問題があったからと考えるのではなく,せっかく通訳が付いてくれたのだから,普段どういうふうにやっているのかを聞いて訂正していけば一回だけの指導でも患者にとってよい結果につながったのではないかと思った。その場しか診るのではなく,もっと広い視野で見る能力を育成しなければならないとつくづく感じた。物事を一生懸命やることが大切であるが,それに加えて一つ一つきちんとやっていかないと結果的に患者のためにならない,また,個人の能力に限界があり,無理せず他の方法を探して工夫することがとても大切であることを教えられた。

 最後に,誰もができる体験ではなく,大学,先生方,一緒に行った参加者の皆様に恵まれ,感謝の気持ちでいっぱいである。ボランティアを通じて感じたことを今後の人生につなげていきたいと思う。
課外活動としてのJAVDOの活動に参加して
歯学部4年次生  中田真吾
今回,JAVDOの活動に参加して,ベトナムでの歯科医療の実態,ボランティア活動の意義,また自分の将来の歯科医師像について,非常に考えさせられました。その意味において,大学にいるだけでは感じることの出来ない貴重な体験ができたと思います。

まず,ホーチミン市で孤児院と障害者施設を回り,歯科ボランティア活動を行いました。ここで目にした孤児は80人くらい,職員も比較的多かったと思います。しかし,環境的には上下水道の設備等も無く,衛生的とはいえない状況でした。子供たちの口腔内は,現在の日本ではあまり見られなくなってきた重度のう蝕や歯肉炎の症例がほとんどでした。治療準備のアシストに追われ,食生活やブラッシングの習慣などはどうだったのか,指導等はなされているのか,という部分に目を向ける余裕がなかったことを残念に思っているところです。

また,ホーチミン市内を見渡しても,歯科医院はほとんど見当たりませんでした。経済界では,多くの領域で中国とインドに続き,ベトナムが注目されていると聞きます。しかし,歯科医療についてはまだまだ十分な体制でないことが感じられました。この現状を変えるにはベトナムの歯科医療制度の改善が重要だと思いますが,現時点で治療を受けられない人達の為にはボランティアは非常に重要な存在だと感じました。ただ,先生方が懸念していたようにボランティアだけでは患者の経過を追えないという解決しようのない問題も残ってしまいます。ボランティア活動だけではなく,国としての自立の支援,例えば歯科医療技術,食生活等の生活,仕組みの構築など,多くの面での指導者を養成するなどの,支援のあり方が重要なのかもしれません。

現在,日本国内においては歯科医師過剰で,これからどのように歯科医療業界で生き残っていくかということが関心事項の一つです。しかし,世界に目を向けてみるとベトナムのように歯科医師の不足している国もたくさんあります。日本の歯科医療の技術は世界的に見ても非常に高いレベルだと思います。このことを頭に置き,私たちはもっとグローバルな視点で将来を考えるべきかもしれません。

この行程の中で,本学部の卒業生である中條先生に,ボランティアを始めたきっかけをお聞きすることができました。初めは今回私たちがこのボランティアに参加したいと思ったものと同じような,小さな関心がきっかけだったとおっしゃっていました。その小さな関心から始まり,7年間も活動を続けているという姿には,困っている人を救いたいという人間の本来あるべき心を見ることができました。一歩を踏み出し何かを始めることは,非常にエネルギーが必要なことですが,持続させるとやがて大きな一歩になることを実感しました。今後,自分がボランティア活動をしたいと思ったときは,思い切って一歩踏み出したいと考えています。

今回の経験で,自分の歯科医師としての可能性と視野を広げることができました。先生方の利害を超越した,いかに社会貢献できるかという姿に非常に感銘を受けました。高柴教授も中條先生も自分の理想の歯科医師像を強く持っておられました。私も理想の歯科医師像を早く見つけ,その目標に向かって全力で努力していきたいと思います。

最後になりましたが,このような貴重な体験をさせていただいた高柴教授,中條先生,中條歯科医院スタッフの皆様,岡山大学歯学部歯周病態学分野に心から御礼を申し上げます。
 
ベトナムにおける国際歯科診療ボランティア活動に参加して
大学院医歯薬学総合研究科 社会環境生命科学専攻(口腔微生物学分野)第一年次 渡辺朱理
今回,私は,日本歯科ボランティア(Japan Voluntary Dental Organization:JAVDO)によるベトナム国際歯科診療ボランティア活動に初めて参加しました。このプログラムは,岡山大学学長裁量経費(岡山大学教育研究プロジェクト代表:大学院医歯薬学総合研究科・教授・高柴正悟)の支援を受け,ベトナムの恵まれない子ども達に無償での歯科治療や口腔保健指導を行い,彼らの自立支援を目的としています。

私がこの活動に参加した動機は,発展途上国における歯科の現状を見たかった事に加えて,海外における歯科診療の場において,私自身が歯科衛生士として何ができるかを模索したいと思ったからです。

我々は,Long Hoa教育孤児施設(1日目),Rang Dong障害児学校(2日目)を訪問しました。2日間で約150名の子ども達を対象として,施設内へ簡易チェアや最小限の器具を持ち込んで歯科診療を行いました。診療期間が各施設で1日と限られていることもあり,処置は,抜歯,レジン充填,サホライド塗布,ブラッシング指導などの即時的な対応が主体でした。私は,子ども達の多くにひどいう蝕歯が多数見られることに驚きました。萌出直後ながら,ひどいう蝕に侵された第一大臼歯を抜歯している様子には胸が痛みました。また,子どもながら全顎的に歯石が多く付着しており,その除去は困難でした。これまで日本で従事してきた診療風景とは大きく異なり,私はとまどいました。しかし,こうした状況下でもスタッフが皆,効率よく臨機応変に対応する姿を見て,私も,人手の足りないところを探して診療補助にあたりました。時間がたつにつれ診療には慣れてきたものの,やはり,言葉の壁をもどかしく感じる機会がありました。特に,Rang Dong障害児学校では,日本語からベトナム語に,そしてベトナム語を手話で伝えるため,なかなか思いが通じず,子ども達を安心させてあげることができませんでした。言葉は難しかったけれど,子ども達と共に歯ブラシを持ち,楽しく笑顔でブラッシングできた時は,うれしく,やりがいを感じました。

今回,私は,ベトナムの歯科の現状を体験し,厳しい生活環境の中で暮らす子ども達を知りました。ブラッシング指導を通じてふれあう中で,私は,厳しい社会の中で子ども達の持つ強い生命力を感じ,私自身も強く生きなければと襟を正す思いでした。

私は,この歯科医療ボランティア活動が歯科治療を行うことだけにとどまらず,ベトナムの子ども達の希望や夢の実現をも支援する,力強い自立援助活動として発展していくことを期待しております。今後とも,この様な機会があれば参加させて頂きたいと思います。

最後になりましたが,岡山大学学長裁量経費の支援を受け,JAVDOの活動に参加させて頂き,貴重な体験や多くの素晴らしい出会いの機会を与えて頂いたことに深く感謝申し上げて「ベトナムにおける国際歯科診療ボランティア活動」の報告とさせて頂きます。ありがとうございました。
  


特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構