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第23回派遣報告
団長: 中條 隆徳
団員: 歯科医師 原田 直
廣畑 英雄
歯科衛生士 石井 真弓
坂本 由美
その他 崎山 理絵
佐治 可奈子
現地歯科医師 Dr,Thu

 
活動年月日 2005年3月20日 2005年3月21日
活動場所(施設名等) Long Hoa School for orphan pupils, in Dist.7 St.Vinh Son Voluntary Elementary School, in Dist.7
午前の部 午前の部 午後の部
時刻 開始 9時00分 9時00分 13時00分
    終了 12時30分 12時00分 14時00分
派遣団員内訳
歯科医師 3人 3人 3人
歯科衛生士 2人 2人 2人
その他 2人 2人 2人
検診人数 78人 74人 30人
処置した人数 47人 41人 30人
処置内容
抜歯 24歯 23歯 12歯
サホライド 21歯 23歯 2歯
充填 9歯 12歯 4歯



中條 隆徳
行動)
 平成17年3月19日、福岡空港から台北経由の、藤岡グループがよく使うツアーで5人の派遣団はホーチミンに入りました。夕方6時、ホテル(ニューワールド)にて、前々日にホーチミン入りした広島大学の崎山さん、佐治さん、そしてJAVDOの手伝いをしてくれているNghiaさんと合流し、HASHOのJAVDO診療室に行き、次の日の準備をし、そのあと食事をし、ホテルに戻りました。
 3月20日、午前7時30分HASHO事務所のチャウさんが迎えに来てくださり、湿度はありませんが、午前にもかかわらず陽に焼ける日差しの中、マイクロバスとタクシーでホーチミン7区の孤児の施設に赴きました。通訳の女子学生は4人です。45分くらいで、仏教寺院の孤児施設に到着しました。風の通りのよい川沿いの講堂の中に設営し、午前9時に治療を開始しました。孤児の子たちは日本では小中学校くらいの男の子供たちでした。治療内容は抜歯と充填です。午後1時頃診療を終えました。
 3月21日、前日と同じくチャウさんのお迎えで、ホテルを出発しました。日差しが強く、約50分後、7区にある孤児施設に着きました。前日と違って狭い部屋に設営し、9時前には診療を開始しました。12時頃、近くで食事をし、13時診療を開始し、午後2時頃診療を終え、撤収しました。

お礼)
 今回の派遣団団員の方々は、団長以外は初めてのJAVDOのボランティア参加です。参加には気軽に応じて頂きました。治療は普段の仕事の延長上で、Dr.DHとも流石!!。慣れたもので、なんの問題もなく進行出来ました、ありがとう。準備や撤収も2人のDHがしきってくださり、団長は大変楽をさせて頂きました。特別参加の2人の広大の学生さん、ご立派でした。ご苦労様でした。
 HASHOのChauさんは、2日間同行してくださいました。Dr.Thuもお手伝い頂きありがとうございました。私たちの世話役のNghiaさん、アルバイトで睡眠不足にもかかわらず、色々お世話になりました。ありがとうございました。
 通訳の学生の皆さん、「ごくせん」で盛り上がりました。ありがとうございました。
 そして、現地の活動を支えて下さる事務局の皆様、ありがとうございました。

メンバー)
 今回のメンバーのDr.は、団長中條の同級生、後輩の3人組でした。と、いっても、JAVDOがなければ、卒後2度と会う事がなかったかも知れません。2人のDH.もそれぞれの病院、診療室で活躍されている方々ですが、これもまた、JAVDOがなければ出会うことはなかったでしょう。そして、広島大学の学生さん。お二人ともピュアなソウルをお持ちで、3人の親父と2人の主婦にスピリチュアルな感動を起こしました、今後のご活躍に期待してしまいました。

感想)
 今回のように、ただ、身一つで参加すれば、歯科ボランティアができるようになってしまったJAVDOのシステムに今さらながら驚いています。すばらしい。これまでご尽力されたJAVDOご関係者の皆様、活動を支援して下さる会員の皆様に感謝いたします。

   JAVDOボランティア歯科医療活動を終えて
広島総合病院 口腔外科    原田 直
 2005年3月19日 ベトナムホーチミン空港に降り立った。JAVDOボランティア歯科医療活動を行うためである。私自身、ボランティア歯科医療活動は
もちろんのことベトナムを訪れることも初めての経験であった。ホーチミンはかつての南ベトナムの首都であった都市であるが、街の整備、交通秩序
など日本に比較しかなり未整備な印象をうけた。目的のボランティア歯科医療活動は翌20日、21日と行われ、対象患者は孤児が中心であった。
患者(孤児たち)は日本の患者とは違い、その環境の中で行われる医療に身を任せるしかない状態であるにも関らず、治療の前後には皆、
明るく屈託のない笑顔をみせていた。泣きながら治療をうけた子供さえも治療後は笑顔で我々に接してくれていた。
決して日本の医療現場ではお目にかかれないその光景は我々を明るく奮起さてくれるものであり、しがらみや規則、体裁に縛られる中で
生活する日本人が忘れかけているだろう本来人が持つ自然の姿を垣間見た思いであった。一方、我々医療スタッフは前もって概ねの打ち合わせはあったものの、細かい打ち合わせまでは難しい状況での活動であった。もちろん設備もなく、持ち合わせの器具での診療であったが、
診療自体は全く問題なく、スタッフの誰一人から不満の一つもでず、むしろ日本での日々の診療よりもスムーズなくらいであった。歯科医師、歯科衛生士、手伝ってくれた歯学部学生、現地の学生などその身分に関係なく、そこには規則やしがらみ、体裁は存在せず、皆ただ一つの共通な目的と信念を持ち動く姿から自然とチーム医療が生まれ、設備や器具の豊富さ、便利さに恵まれた日本での診療よりもむしろすばらしく、
医術は“仁術”と言われるまさに医療の本質、チーム医療の原点をみたようであった。我々は恵まれた環境の中で医療を提供できる立場にいながら、規則やしがらみ、体裁の煩わしさに振り回され、本来の医療を見失っているのではないか、人と人のつながりこそが本来の医術、医療を支えるものであることを忘れかけていることに気づかされた貴重な経験であった。

    JAVDO―ボランティア参加にあたって
広島総合病院口腔外科  歯科衛生士 石井真弓
 歯科衛生士として、開業医での約10年、現在の総合病院で約4年、自分なりにその医療施設の歯科医師の方針の元、診療介助、補助をさせて頂き、私なりに充実した衛生士生活をしてきました。現在も、口腔外科専門医の先生の元、診療に追われる毎日を送っている私は、今回ボランティア参加の話に一も二も無く飛びつきました。行きたい。行かせて欲しいと思いました。

暑いベトナムは気持ちの良い暑さでした。空港出口では丸く人が囲み、何かのお祭り?有名人でも来るのと思われる様に、皆こっちを向いていました。まるで我が家に人を招き入れ様な顔にみえました。5人のメンバーの内4人は初ベトナムという事で、某歯科医師の下、忠実に行動をするメンバーはまるで、?年前の修学旅行(中年旅行)状態でした。診療の準備の為、JAVDOの診療所に行った私達は、ここで日本語ボランティアの人と待ち合わせをしましたが、連絡が付かず一時間位待ちぼうけでした。しかし、腹を立てる人もおらず、道行く人を眺めたり、大声で中に呼びかけたり、つまらぬ話をして皆楽しく時間を過ごしました。これも日本では考えられないことです。何が私達を穏やかにさせていたのでしょう。診療日、昨日とはメンバーの顔付きは変わっていました。それぞれの思いは分りませんが、心に秘める物が感じられました。現地ボランティア(キュートな女性)と打ち合わせの後、検診、充填処置、抜歯に別れ、診療開始。事前の用意不足を痛感しつつ、今用意できることで最高の状態にして行こうと思うものの、初めは普段している簡単な事すら実行できず、自己嫌悪と申し分けなさを感じましたが、自分の気持ちなど感じている暇はありませんでした。なぜなら確実に自分に与えられた仕事をこなしていかなければ、ここの診療には、“また後で”は無いのだから・・・。抜歯の介助をしていて、根湾曲、根尖病巣の有無、根癒着、永久歯の萌出位置などのいつもならX-Pで得られる情報もなく、器具不足の中、根尖の方向の違う歯牙の分割すらできない状況での抜歯は広島での診療と違い先生の負担も大きいだろうと思いつつ抜歯は進んでいきました。抜歯の子が途切れ、ふと顔を揚げると、某先生が大きな体の腰を曲げ、汗をかき必死に充填処置をし、衛生士がテキパキと介助をしていました。広島大学から参加の歯学生も現地の子供を移動、器具の洗浄、消毒、介助をしていました。また現地ボランティアのスタッフも通訳、器具の洗浄をしてくれていました。皆自分に出来ることを必死にしていました。検診をしている某先生の予診にあたる真剣な顔や子供達と話をする笑顔のとても素敵な顔、歯科治療をするには過酷な条件の中で、納得の出来る治療を試み、衛生士にも優しい先生の素敵な顔、情報の無い中依頼された歯を確実に抜歯された先生の素敵な顔、初対面の先生と息ぴったりで歯科治療の介助をこなしながらボランティアスタッフや医学生に適切に指示をする衛生士の優しい顔、歯学生の知りたい見たいという勉強熱心な意欲とはつらつさ、現地ボランティアの勤勉さなど誰1人嫌な顔はしていません。いろいろな境遇の中で、話しもした事のない私達に自分の体をゆだね、充填、抜歯処置に望む子供達、抜歯の時は泣く子もいましたが、ほとんどの子が協力的で、明るい、屈託のない笑顔はなんて清々しいんだろう。無償、暑さ、不便さ、何1つとっても快適さはありません、なぜ、皆いい顔しているのだろう?医療行為とは、スタッフと患者さんでするもので、スタッフと患者さんの方向性(目的)が同じなら、自分のすべき分野(範囲)を確実にする事で円滑に進む、それが、患者さんが受ける当然の行為なんだろうと感じました。今、広島での自分はどうなのか、自分は衛生士として、やるべきことをやっているのか?自問自答し・・・。

ベトナム滞在中は余計な事を考えず、某先生においしい料理の紹介、お土産の手配、衛生士同士の情報交換、また現地ボランチアの女性同士の恋愛談話などに花が咲き、診療においては、今出来る事を懸命に行い、充実した貴重な時間をすごさせて頂きました。参加させてくださったJAVDOのスタッフの方々と理解し参加を許可して頂いた病院関係者に感謝の気持ちで一杯です。

    体験記 
広島大学 歯学部 崎山 理絵
 私が初めてJAVDOの事を知ったのは、昨年の九月に参加された先輩のお話を聞いたときでした。学生の間に一度はこのようなボランティア経験をしておきたい、と入学当初から漠然と考えてはいたのですが、時が経つにつれてその思いも消えかかっていました。きっかけもなく三年が過ぎようとしていたある日、衛生学の講義でJAVDOが紹介されました。いつもは優柔不断な私ですが、このときだけは「この機会を逃しては…」と授業後すぐ先生の教室に押し掛けたほどでした。

 志願したもののいざベトナムへの出発日が近づいてくると、実習経験もほとんどない私達に何ができるのか、迷惑をかけないだろうか、と幾つか不安が生じたのですが「色々と感じて吸収してくるだけでいいから」という先生方のお言葉に甘え、取材班のごとく同行させていただきました。

 活動一日目は孤児院で二日目は小学校でした。一日目は粗相の無いようにするのが精一杯で、二日目にやっと周囲を見渡せる余裕が出てきました。子供達は日本の同じ年齢の子と比べて身体が一周りも二周りも小さく幼い印象を受けました。子供達が治療跡を見せあったり、私達の活動や歯科器具を珍しそうに見ている姿を見て、世界における歯科医療の普及の遅れを感じずにはいられませんでした。この子達の他にも治療を受けた事のない、また受けられない子供達がこの国だけでも未だ数多くいるということ知り、日本との違いを改めて実感しました。日本に住んでいる私達は歯科医院を訪れる際、何かしら訴えを持っているのが普通であり、またメディアの発達により今や大人だけでなく子供も歯科疾患・治療に対して知識が豊富です。しかしここベトナムはそうではなく、子供達の中には何をされているのかわからずに必死に抵抗する子もいました。けれどもこのような子供達にとって先生方の地道な医療活動が彼らに口腔衛生の意識を持たせるきっかけになっているのであろうと感じました。

 四日間というとても短い期間でしたが本当に貴重な体験をさせていただきました。活動中の先生方の真剣なお姿を忘れません。また活動外でも普段の大学生活では決して聞くことのできない貴重なお話を沢山聞くことができ、すごく充実した四日間でした。大学生活も残り半分となりました。その後は歯科医師となるわけですが、この出会い、経験、胸に響いたこの感覚を忘れずに一人前の歯科医師を目指してこれからも日々精進していきたいと思います。


広島大学 歯学部 佐治可奈子
 昨年九月の派遣で、先輩方がJAVDOの活動に参加した、という話を授業で森下先生から聞き、日本以外の国―人種、経済力、文化の違う国の歯科治療に触れられる機会というものがあると知り、私もぜひ間近に体験してみたいと思い今回の活動に参加しようと決めました。診療自体の役に立ちたい、という気持ちは確かにありましたが、三年生が終了した段階で臨床の知識はほぼないに等しく、皆さんにはたくさんご迷惑をかけたのではないかと思いますが、結果としてはさまざまなことを肌で感じ、勉強させていただいたということになり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 まず、ベトナムの印象から。路上に並ぶ果物、食べ物の無数の露店。浅黒い肌に生き生きした目でそれらを売る人、道行く人。蒸し暑い気候に道路にあふれる無数のバイクの排気ガス、エンジン音。ベトナムはこれぞ東南アジア(?)という雰囲気満載、明らかに日本では見ることのない風景が次々に目に入ってきます。夕食が一人数百円で満足いくほど食べられるような店もあれば、その倍以上の値段で一個のアイスクリームを売る店もある、経済のヒエラルキーの格差も大変大きく、テラスでカフェをしているベトナム人もいれば、その一歩外には裸足で物乞いをする子供たちが彷徨っている、という世界が、私にはとても異様でショックでした。

 今回診療した子供たちも、保護者のいない子や極貧の子などで、年齢には不相応の体格だったのが印象的でした。日本の臨床現場もさほど見たことがなく、実際の様子は知らないので比較はできないのですが、そんな私でも子供たちの口腔内は(何と言うか…)はっとするようなものでした。歯冠がほとんどないほど進行したう蝕を持った子がゴロゴロいて、それでも何も症状がないとケロッと言い(実際症状の出る時期を越えてしまっているのでしょうが…)よく食事ができているなぁ、とこちらが不思議になってしまう子ばかりでした。でも、私たちにとっては「歯が痛くなったらそれを訴え、病院に行き治療をし、その疾患を改善する」という流れが自然で常識になっています。が、彼らにとってそれは常識でもなんでもなく、歯が痛ければそれに耐え、気づいたら歯には穴があいているのです。だからといって病院に行くとか、治療して改善を図ろうとか言う選択肢がないのではないか、ということを感じました。‘歯磨きしっかりがんばろうね’、と言いたくても、彼らには自分専用の歯ブラシはなく、単純にはいかないということ、また、彼らの中で口腔清掃状態の維持ということが生活の中の優先順位の上位には決して来ないということがとてももどかしく、しかし、その現実は避けようがないということが身にしみて感じられました。

 今回の活動を通じて、学生という立場でもって様々なことを体験できたことは本当に貴重としか言いようがないと思います。テキパキと仕事をこなしている皆さんの中で、何もできずにただ見ていることしかできないことがとても心もどかしく、その点では申し訳ない思いではありますが、今、学生だからこそ、完全に医療者という立場でもなく、患者でもないという立場で、自然に両方の視線から物事を考えられたと思うからです。治療するとは何なのか、治療を受ける側の患者のモチベーションと施術の意味、治療する側の治してあげたいという気持ち、疾患という事実、現実…考えさせられたことは数え切れないほどありました。そしてそれらのどれにもまだ自分なりの答えは見つかっていません。しかし、肌で感じる何かはあったと確信しています。

 このような感情や考え方、何よりも考える機会をもてたことは、この活動に参加したからこそ得られたことだと思います。そして、今回一緒に参加した先生方、衛生士さん方のお考えを聞くという機会も持てたことも本当に貴重なことであったと思います。様々な考え方をうかがえた事は、これからの私自身の考えを築いていく上で私に多くのテーマを与えてくださりました。

 何もわからず、何もできない私に丁寧に指示してくださった坂本さん、石井さん、暑い気候で大変な診療中にも快く診療の見学をさせていただいた中條先生、原田先生、廣畠先生、本当にありがとうございました。

 また、今回の活動参加のきっかけをくださった森下先生、ベトナムに行くに当たって航空券手配から何から何まで気を配っていただき、また私たちのわがままに付き合ってくださった長田さん、中野さん、本当にありがとうございました。

 貴重な体験を、本当にありがとうございました。




特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構