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第18回派遣報告

 
活動年月日 2004年9月19日 2004年9月20日
活動場所(施設名等)
午前の部 午後の部 午前の部 午後の部
時刻 開始 9時00分 14時30分 9時00分
    終了 13時30分 16時30分 11時45分
派遣団員内訳
歯科医師 2人 2人 2人
歯科衛生士 4人 4人 4人
その他 5人 5人 5人
子供達との交流
検診人数 94人 34人 170人
処置した人数 41人 27人
処置内容
抜歯 57歯 27歯
サホライド 3歯
ブラッシング指導 41人 26人 130人



JAVDOに参加して
歯科医師 有松俊明
 昨年3月のSARS、今年3月の鳥インフルエンザによる2度の派遣中止にもめげず、3度めの正直で9月派遣に参加しました。海外ボランティアは20年前に青年海外協力隊として、アフリカのマラウィですごした2年間が唯一の経験でした。当時の隊員の何人かが任期終了後も海外勤務や国連ボランティアで活動している姿に羨望の気持ちをもちながら、仕事に追われる毎日を過ごしてきました。今回ベトナムでのボランティア活動を終えて帰国した今、ありふれた日常の生活、見なれた風景が新鮮に感じられ、非常にリフレッシュした気分です。
ベトナムでの印象を列記します。ベトナム航空のスチワーデスの決して笑みを見せない高飛車な態度にまずびっくり。タンソンニャット国際空港では、予想していた喧噪はみられず、拍子抜けしましたが、ホテルから散策にでようと道を横断しようとした瞬間に右から左から、前から後ろから殺到するハチの大群のようなバイクに足がすくんでしまいました。ホテルから徒歩5分のベンタイン市場までの遠かったこと。でも半日もすると慣れて、横断する時は決して横断歩道は渡らず、車道を横断する方が安全ということに気付きました。最後まで慣れなかったのは市場にただよう臭い。ヌックマム、香草、さばいた肉や魚などのもろもろが混じり合った臭いに同行した家内はダウン寸前で這這の体でホテルへもどった次第です。
今回3度目の正直で実現できたため6日間の休暇をとり、メコンデルタ、クチトンネルのツアーに参加しました。シンカフェという格安ツアーでメコンデルタ1日のクルージングツアーがランチ込みで7US$、クチトンネルが半日で4US$でした。ただしメコンデルタまでのバスは3時間の行程がスリル満点で車内は悲鳴の嵐です。車道の中央線は無いに等しく、対向車とのパッシングとクラクションの連続で衝突寸前での回避は芸術的です。
メコン川は日本の清流には程遠く、カフェオーレがあふれた状態でした。帰路はすさまじいスコールと稲光りにみまわれ、途中のチャイナタウンでは浸水して見えなくなった道路を平気で走るバイクに呆気にとられました。クチトンネルでは戦争の悲惨さ以上にベトナム人のしたたかさを実感できました。
到着3日目でベトナムの空気にも慣れた夜、事務局の長田さん、中国新聞社の部谷さん、広島大学の島田君、石本君、植田さん、通訳の学生さんと合流し夕飯を食べました。向ったレストランは2組の誕生パーティで貸しきりでしたが、一方の主催者に招待客でもない我々全員が食事をごちそうしてもらい、恐縮しながらいただきました。モ、ハイ、バのかけ声で始まるビールの一気飲みに何度もつきあわされるのは、少々つらかったですが、楽しいハプニングでした。午後11時ごろにようやく団長の柄先生一行が到着。診療の打ち合わせは現場でということでこの日はお開きとなりました。
1日目のBinh Khanh communeでは抜歯と歯磨き指導に分かれ、柄先生の振り分けにより、私はひたすら抜歯に没頭しました。最初の数十分はいいのかなこんなことしてと迷いながら、抜歯していましたが、何例かこなすうちにアフリカでもこんな感じだったなあと思い出し、あとは無我夢中でした。柄歯科の衛生士さんのパワーと学生諸君の若さに後押しされ、あっという間の一日でした。
2日目はLong Bihn Commune という中学校で検診と歯磨き指導でした。前日とは異なりほとんど齲蝕はなく、歯垢はついているものの歯肉炎は全くといっていいほどみられませんでした、この日は衛生士さんたちが大活躍で、指導終了後サインぜめにあっていました。子どもたちが先生のいうことに素直に従う姿が新鮮でした。
最後に、柄団長の決断力、長田さんの水も漏らさないコーディネートに感謝するとともにまじめに取り組む広島大生、パワフルな柄歯科の衛生士さん、ロマンティストの部谷さん、現地通訳の学生さんたちに縁があればまたベトナムで会いたいと思っています。
 

2004年9月派遣報告書
歯科衛生士 有松ひとみ
2004年9月の派遣を終え、一週間が経ちました。自宅に戻ると、日時と共に複数のメッセージが留守番電話に残されており、一気に現実に引き戻されると同時に、自国の合理的システムにコントロールされている自分を感じ、あるがまま、なすがまま“ケセラセラ?なるようになる”ベトナムが懐かしくなりました。
前日の夜、部谷さん、長田さん、3名の歯大生と夕食を共にした後、日本での診療を終え午後11時過ぎの到着された柄先生と、3名の歯科衛生士の方々と合流、打ち合わせし、当日を迎えました。  
早朝6時過ぎにホテルを出発し、JAVDOのベトナム事務局Hasyoで備品等の準備を整え、一日目の活動拠点であるBinh Khanh communeには車で約50分、フェリーに乗り継いで10分位で到着します。この間、想像を絶するベトナムの交通網に遭遇し、通訳の学生に「バイクの運転はこわくないですか?」と質問し怪訝な顔をされ、この状態を“こわい”と認識しているのは私だけなのか!と妙に感心してしまいました。(ジェットコースターより迫力満点!)多くのベトナム人が信号を守りません。赤であろうが、反対車線であろうがおかまいなしに、自分が行くと決めたら、いえ頭で考える前に体が反応している感じです。
この“理屈抜き”の感覚はこの日の活動、私の担当であったブラッシング指導時でも体感しました。開始直後、私の言葉は、通訳の学生を介して対象者に伝えられていました。しかし、午前中だけで100名以上の受診数、このままのペースでは埒が空かないと判断し、数人を椅子に座らせた瞬間、導入の前触れもなく「さあ、今日から歯を磨くのよ!」と否応無しに歯ブラシを渡し、手を捕って力の入れ具合や操作法を体で覚えてもらうことにしました。「そうそう、その調子。」は首をコックリと縦に振り、「左を磨いて。」は指先でその子の左頬に触れるといったボディランゲージと表情筋で、コミュニケーションするのです。上手に磨けるようになると、私は相手が分からないと知りつつ日本語で褒め、表情を緩ませると不思議と相手に伝わり、理解不可能であるはずなのに、妙に呼応しあい、一体感が生まれます。私の手袋の中から滴り落ちる汗を、不思議そうに手で受け止めてくれた男の子もいました。皆、真剣に一生懸命な目で歯を磨いてくれました。これは日本では体感出来ない感覚で、まさに“理屈抜き”の人と人との触れあい合いから生じた産物なのかもしれません。
もう一つすばらしい事に、このころから通訳の学生と“あうん”の呼吸が生まれ、ひとつひとつ指示しなくても率先して動いてくれ、5?6人まとめて指導する際、私が目の届かない子供達は彼女たちが担当し、最後には手を持ってブラシを動かすまで機転を利かせてくれ、改めてベトナムの学生さんの知性に感服です。
そして、暑さと膨れ上がった人の熱気で脱水状態の中、飲んだミネラルウオーターの美味しかった事!忘れられません!!
二日目は中学校での活動。現地に行ってから、約2時間で150人弱の検診と保健指導と知り、急遽、教室で集団指導をすることになりました。「一日何回磨くのか?」などの基本的生活情報もなく媒体もないまま、1クラス30分程度で、3クラス実施しました。通訳を介しての集団指導は、話者と聞き手との間に微妙な温度差が生じますが、それをカバーする以上の熱列歓迎ぶり。「日本はどんな国か知ってますか?」の質問に「世界有数の経済大国です。」と答え私達を唸らせ、「一年中雪が降っています。」の答えには思わず顔をほころび、最後に“今日から毎日歯を磨こう”と提案した場面では、手を高?く挙げて約束してくれました。(感激!うるるん)それだけに、「媒体を揃えて、しっかり準備して行きたかった。」「もっとこう言えばよかったのでは...」反省点が後から押し寄せて来たのも事実です。
しかし、日本に帰り改めて思う事は、計算された行動から生じる予想できる答えも大切だけれども、“理屈抜き”の体当たりから生まれる感覚も必要なのではないかということです。確かに今の日本はムダ・ムリ・ムラを無くすため技術革新が進み、IT化時代に突入し、自宅から世界中の国々と対話出来る時代になりました。私達は常に「結果」を出す事を要求され、「評価」を受けながらそれをフィードバックし、失敗しないように、毎日を過ごしているように思えます。日本が無くし忘れてしまったものがそこにあるから、“また行きたい”とヌックマムのにおい漂う異国に、思いを馳せるのかもしれません。

追記
柄先生。何ごとにも動じず“ドーン”と構えてみんなを引っ張って下さいました。ギリギリまで仕事をした後の派遣、帰国後はその日の内に仕事に戻られる姿勢が活動の原動力となりました。
柄医院のDH、河村さん日野さん行政さん。柄先生との“あうん”の呼吸は絶妙、エネルギッシュで賢く素敵な女性でした。
広島大学歯科大生、島田君,石本君,植田さん。あなた方のような若者が歯科界を担っていくことを誇りに思います。忘れないで下さい。
中国新聞社の部谷さん。振り返るといつもどこでもそこに居て、安心しました。ベトナムの赤とんぼの話、ずっと覚えておきます。
JAVDOの長田さん。あなたがいてくださってから、思いっきり自分らしく、みんなが動く事が出来ました。感謝感謝です。
本当に皆さん、ありがとうございました。
See you again!
 
JAVDO 第18回ベトナム派遣事業に参加して
 広島大学 歯学部歯学科4年 石本 俊介

 今回訪問したベトナム・ホーチミン市は、その中心部においても貧富の差が顕著である。立派な家を構え、マイカー・マイバイクを所有する人がいる一方、住む家がなく、路上でその日暮らしの生活を送っている人、旅行者に金品をねだるストリートチルドレン。日本ではまず見られないような光景を目の当たりにした。
 診療での子供たちはみな元気いっぱいで、目が輝いていた。JAVDOスタッフに積極的に話しかけてくるなど、とてもフレンドリーであったことが印象に残る。両日とも、ホーチミンの子供たちの無邪気な姿をみることができ、ほっとした。自分の境遇に屈せず、前向きに生きようする、ひたむきな姿であった。しかし、日本における同じ年齢の子供と比較すると、体格がいくぶんか小さい印象を受けた。民族的(遺伝的)なものなのか、栄養不足なのか…定かではない。
 今回出会えた子供たちは、ホーチミンにおけるほんのごく少数の子供たちである。今回の訪問だけでホーチミンの全てを語ることはできない。しかし子供によってはプラークの付着など、口腔内状態がよくないこと・極度のう蝕の進行により、やむなく永久歯を抜歯せざるを得ない状況からして、口腔衛生に対する意識はあまり高くないといえる。これは、日本のような学校教育の一環として、口腔衛生指導があまりされていないこと、また、学校にも行けないような、生活上での余裕が持てないことも、原因なのかも知れない。
 今回は学生ということもあり、実際の診療では簡単なお手伝いしかできず、自分の非力さを痛感した。周りでてきぱきとこなしている皆を横目に、何もできないでただ見守るだけの自分がいて、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。しかし、今回参加できたことで、診療はもとより、他の多くのことも学び、得られたように思う。将来歯科医師となる上で、是非活かしていきたい。これからも自分にできることで、微力ではあるかもしれないが、このような活動に取り組んでいけたらと思う。
 第18回ベトナム派遣事業の参加に際し、JAVDOの活動を紹介してくださった森下先生をはじめ、柄先生を団長とする派遣団員の皆様、そして現地の通訳の方々には、大変お世話になりました。ありがとうございました。
 
JAVDOの活動に参加して   〜感想文〜
広島大学歯学部4年 植田 祐子
大学の臨床実習にあがる前にできるだけいろいろな国の歯科の現状を知っておきたいと思っていたところ、この活動についての話をお聞きし、ぜひ一度参加してみたいとおもい、今回の派遣に申し込みました。しかし、実際、まだ学生である私がベトナムに行って何かできることがあるのだろうかという不安はありました。その不安と、それでも何か得て帰ってきたいという気持ちでベトナムへ向かいました。 
 ホーチミンは、思っていたよりもきれいで、とてもにぎやかなところでした。まず驚かされたのはバイクの数です。日本の道路が自動車がメインであるのに比べ、ホーチミンの道路はバイクがメインでした。バイク一台に2、3人、ぶつかりそうなほど密に走り、急ブレーキやクラクションはあちこちからあたりまえのように鳴り響きます。頻繁に事故が起こらないのが不思議なほどでした。
 今回の活動内容は、一日目は歯科医師のひとりもいない地域での子供達の治療でした。とはいっても、設備も時間もないため、ほとんど全員が抜歯、そしてブラッシング指導やサホライドの塗布でした。先生や歯科衛生士さんが走り回る中、器具を用意したり、子供達の連れていったり並ばせたり、ときには先生の診療を見学したりしましたが、日本と違うなと思ったことと、同じだなと思ったことと、それぞれひとつずつありました。違うなと思ったのは歯科医師の数や子供の口腔状態です。ホーチミン市ではいくつか歯科医院を見ましたが、少し郊外のこの地域は、歯医者さんは足らないようです。そのため、子供達の口腔状態はかなり悪いようでした。やってきた子供の中に、一人としてCのない子供はいませんでした。全員どこかしら虫歯があり、中には残根状態だったり、永久歯でさえC3以上の虫歯がある子もいました。今の日本ではそんな子はめったに見ないそうです。永久歯を抜くのは忍びない、でも今後来る予定はないから痛いのなら抜くしかない、と先生は葛藤されていました。日本では歯科医師の数がコンビニの3〜4倍で歯科医師はあふれ、歯科大学削減の話を聞くのに、いないところにはいないもんだな・・・とおもいました。正直、将来に希望がもてたような気がしました。同じだと思ったのは、ベトナムの子もやはり子供であるということです(かわいかったです)。先生を見るだけで怖がって口を開けようとしない子、麻酔の注射に泣き叫ぶ子、不安そうに順番を待ったり、他の子が泣き叫ぶのをみてつられて泣いてしまう子もたくさんいました。撮っているビデオに興味津々で近づいてきたり、用意してある歯科器具を触ろうとしたり、好奇心いっぱいなところは日本の子供とまったく同じだとおもいました。2日目は中学校での歯科検診。1日目とはかなり違いました。Cのある子は190人中せいぜい半分くらい。治療した後の子や予防充填してある子もいました。これほどまでに違いがあるのかと驚くほどでした。2日目はブラッシング指導がメインになったようでとにかく歯科衛生士さんが大変そうでした。
 私の滞在は5日間だったため、ホーチミンの観光もできました。昼は博物館や統一会堂を見学し、夜はカフェに連れていってもらい、JAVDOの活動以外でもベトナムに触れることが出来ました。料理、歴史、言葉、ストリートチルドレンの様子など、私にとって未知のことばかり、驚くことばかりでした。その多くの場面でベトナム戦争の傷跡や経済的な問題を感じることがありました。私とあまり年齢の変わらない通訳さんの話すベトナム戦争後についてや夜の街で物乞いをしているストリートチルドレン(かなり減ったようですが)が、高校時代に授業で教わったベトナムについて(経済的なことや戦争、支配、人々の生活などですが)と重なり、これらが単なるイメージから、現実に変わったような、そんな気持ちになりました。日本語を勉強し、日系企業に勤めたいという通訳さんや、ものを売ろうと私達の後ろをずっとついてくる子供たちをみると、私達日本人が、いかに幸せで、ぜいたくであることを当たり前とし、特に何事もない日々を送っているかを感じました。そしてその分、ボランティアや援助の必要性を感じました。
 今回、この活動参加させていただき、日本にはない、非常に多くのものを得ることができました。ベトナムに行き、ベトナムを見て、先生方の意欲を感じ、より早く歯科医師になって働きたいと思うようになりました。また、たくさんの出会いがあったのも私にとって得たものの一つです。ベトナムの状況、歯科医師としてこれから考えていかなければならないことなど、いろいろと教えてくださった先生方をはじめ、歯科衛生士の方々、中国新聞社の部谷さん、活動中全員のスケジュールのために走り回ってくださった長田さん、どんなときも言葉に困ることのないようにそばにいてくれた通訳の方々、ほんとうにすばらしい人ばかりでした。そのほかにも、今回の活動に携わった方はたくさんいらっしゃると思います。JAVDOの活動がいかに多くの人々の協力から成り立っているのかを知りました。今回私は何もすることができず、邪魔な面も多々あり、迷惑をかけてしまったことと思います。ベトナムで見たこと、聞いたこと、感じたことは今後の大学生活やこれからの道に活かしていきたいと思う、ほんとうにすばらしいものでした。
今度は歯科医師の資格を取ってこの活動に参加したいと思っています。

最後になりましたが、今回お世話になった皆さん、本当にありがとうございました。




特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構