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第104回派遣報告
団 長:        石本 耕二
団 員: 歯科医師 藤岡 道治
鈴木 章弘
歯科衛生士 山本 春江
     その他 濱村 佳子      
現地サポート 沖本 麻貴

 


1. (活動場所) 
 
Thuan An 障害児教育センター
 
2.(活動内容)
 
102回・103回派遣に引き続き、調査対象者の追跡調査を行った
 
 3. (感想)
 
 第103回 派遣報告
団長 石本 耕二
 全調査対象者79名のうち、転校した生徒7名と退職した先生1名を除く71名全員を調査することができた。
 沖本さんが生徒のクラスが明確になるリストを用意してくれた。
また、ニエ君と通訳さん達が生徒をてきぱきと誘導してくれた。特に、前回の派遣にも参加した通訳さんが中心となって、生徒への質問、問診をスムーズに行ってくれたことはとても良かった。
 口腔内診査等は 鈴木先生と私で筆記者とペアになってあたった。健康指導はニエ君、ブラッシング指導は 山本衛生士が行った。
 皆さんの協力により、比較的短時間で適切な活動ができたと思う。団員の皆さんに感謝致します。

 参加してくれた皆さん、お疲れ様でした。鈴木先生、機会がありましたら是非またご参加下さい。お待ちしております。沖本さん、ニエ君、いつもサポートありがとうございます。来年また、会いましょう。 
JAVDO参加 感想
歯科医師 鈴木 章弘
私は今回ボランティア活動に参加させていただくことにあったって事前に自分がなぜ参加を表明したかを書き留めておいた.それを踏まえ感想を書こうと思う.

【ボランティア活動前】
私がベトナムに興味を抱くようになったのは私の在学している東京医科歯科大学インプラント外来にベトナムからの留学生が多く来ているからだ.ここに来ているベトナムの留学生(歯科医師)はみな,日本の歯科の技術を学び,母国に帰って人のために働こうと考えている.その学びは常に謙虚で,熱心で,ひたむきな姿勢であった.我々が現在日本で歯科医師過剰,そして超高齢化社会と叫ばれ不安と隣り合わせの中,私はベトナムの留学生から,根本に「学ぶ姿勢」の大切さを教わったからだ.

ベトナム歯科界の現状

ベトナムは社会主義共和国ではあるが,1989年のドイモイ政策より,計画経済から市場経済への転換が起こった.これはベトナム経済活性化の最大の原動力となったことの半面,嗜好品の流行を招いた.
友人のベトナム歯科医師の報告によるとDMFT指数も6.4(12歳以下の子供の平均虫歯数,一方,日本では12歳以下のDMFT指数は1.2である)という,とてつもなく大きい数値である.日本における昭和40年頃のいわゆる「う蝕の洪水」と言われた時代に近い印象を受ける.その状況に対し,歯科大学がベトナム国内にはたった4大学しかなく,歯科医師の絶対数が不足(歯科医師適正人数は人口3000人に対し歯科医師1人)していることに加え,医療関係者の都市部への集中傾向が顕著なため,特に地方での医療環境がより厳しいものとなっている.先に述べた「う蝕の洪水」時代の日本であっても救いだったのは人口4000人に歯科医師1人というバランスだったことであろう.ベトナムからの留学生に聞いたところによると,都市部でも限られた住民のみしか歯科医療を受けることができず,地方の歯科医院では予防の概念が普及していないそうで,歯科治療と言ったら抜歯が圧倒的に多いそうだ.都市部でも予防の概念は乏しいという.実際,私は留学生たちの歯科治療を個人的に頼まれることが多いが,彼らが母国で施された処置を見ると,カリエス処置も未だにアマルガムを使用し,歯ブラシ指導は受けたことがなく,歯科医師であるのにも関わらず歯肉炎を発症している学生も数名いた.数十年前の日本の治療を思い起こされる.このようなこともあり学生の彼らは母国に何か学びを持ち帰りたいのであろう.

今のベトナム歯科界に必要なこと

歯科大学の増設,歯科医師の増加,予防の概念の普及が挙げられる.

私のボランティア経験

私は10年前,ベトナム歯科ボランティアに参加した経験がある.ベトナムの地方の障害者施設で歯科検診,歯ブラシ指導などの予防処置を広める活動をしてきた.お金でなく,人のために何かを行う経験,人から必要とされる経験をし,心の底から喜びを感じることができた.

今回のJAVDO参加の感想と,今後私がベトナムで歯科医師としてできること

2017年11月に行われたベトナムボランティア(対象者は耳の不自由な子達が通う小学校の生徒)に参加し,検診や口腔衛生指導を通し感じたことは大きく3つある.
1つ目は想像以上にカリエスが少ないということ
2つ目はプラークコントロールが比較的良好ということ
3つ目は歯科医院の数が多い
以上のことが感じられた.
1,2に関し,ベトナム全土が?という疑問は残るが,少なくとも私が行かせていただいた学校はJAVDOの介入の影響がいい結果をもたらしているのだと思う.私のボランティア参加前の想像と大きなギャップがあった.
3つ目に関し,私が10年前にベトナムを訪れた時と比較しかなり歯科医院が増えた印象があった.ベトナムからの留学生によると歯科受診率は年々増加しているという.その現状が国民の意識を変え,上記の1や2にも関わってきているのかもしれない.
今後を考えてみると,歯科大学の増設,歯科医師の増加などの政府へのアプローチはできない.しかし,予防処置を広める活動はできると考える.
具体的にはベトナムの歯科医師の方と都市部での予防処置の実態調査をし,歯ブラシ指導を始めとする講演会を開く.また地方(山間部)でも,地元のボランティア団体に同行し,処置を行うとともに歯ブラシ指導を始めとする予防処置の概念普及に努めていく.都市部,地方の相異と問題点の抽出,解決策を探る.などといった活動ができたらと考える.
ボランティアは一度だけでは単なる自己満足で終わってしまうだろう.重要なことは継続するということだと思う.JAVDOに参加した体験を後輩に伝え,そして続けていくことが大切と考える.

これからの日本とベトナム その架け橋

公ではないにしろ民主化の活動が進み,日本の企業も数多く進出している.私の所属する東京医科歯科大学もベトナム歯科医師会と連携のつながりがあり,インプラントなどの高い技術を伝えようといった試みがあるようだ.しかし,高度な技術が本当にベトナムの現状に必要なのか,私にはそこは不明である.私は本当の意味でのベトナム歯科界のサポートはカリエス治療や予防処置などの,もっと根底の部分であるベトナム全国民の現状,未来を考えたものでなくてはならないと考える.
私は,ベトナムの歯科界の発展,ベトナム国民の口腔内状態改善,およびそれに伴う健康寿命の向上を切望する一歯科医師として,今回のJAVDOでの活動を活かし,日本とベトナムがより自然に寄り添え,教えるだけの立場ではなく,平等な立場として協力できる関係造りをしたい.
 
 
 



 


特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構